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写真集:長屋迷路
■写真集:長屋迷路

長屋迷路 写真:中里和人(Nakazato Katsuhito)
文・中野 純
タイトル:長屋迷路 Row House Maze
紹介文:
本の中で迷ったことがありますか?
『散歩の達人』の「旧道部」「向島特集」でおなじみの
写真家と体験作家が案内する疑似体験写真集。
定価:本体2,580円+税
発売元:ピエ・ブックス

■紹介記事
[「散歩の達人」2005年1月号より 文・田邊寛美]
墨田区・京島、向島にある長屋地帯は、地図があっても迷う町。足を踏み入れると、たちまち方向感覚を失い、同じ道を行ったり来たり。路地には、どこかの家から流れるテレビの音が響き渡り、公道なのによそ様の庭に入り込んだような感覚に陥る。
『散歩の達人』8月号「向島・曳舟・押上特集」の取材のため、写真家の中里和人氏と半月近くこの界隈を歩き迷ったことがある。「こりゃいいね」と中里氏が足を留めるのは、軒先にぶらさがる貝殻の飾りだったり、繁殖しすぎたアロエだったり・・・。時には「この壁の染みは富士山みたいなんだよね」とモルタルの壁を指し示してくれたり、掃除道具が無造作に於かれた路地の一角で立ち止まり、「なんか、全ての配置が完璧な気がする」と関心したり、視線の先には、いつも「はっ」とさせられる光景が浮かび上がるのだった。
普段よりゆったりと歩き、普通の人が造った何かに目を留め、路地に美しい景色を発見する。散歩人に必要不可欠な視線が、この「長屋迷路」には詰まっている。長屋地帯で迷い歩いた時間、光、匂い、そして発見の快感が、真空パックされているかのよう。まるで、まぶたにカメラがついていたのではないだろうか、と思えるほど瑞々しい写真集なのだ。
住民の個性を発散しながら連なる長屋は、改造され拡張し、浸食しあっていたが、本書でも、写真がページ間をまたがり、次から次へと切れ目なくどんどん“浸食”して行く。さらに、裸足の散歩人・中野純氏によるテキストも、句点がなく縦書きなのに、なぜか左から右へと綴られ、息つぎなしでどんどん進む。気を抜くと、どこを読んでいるのかわからなくなってしまう!「アロエヘア」「とりあえず者」「多肉触感散歩」など気になる言葉を拾いつつ、迷いながら、好きな所から読むのもいい。

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by nakazato-k | 2005-01-28 14:34 | 中里和人 新着情報
「路地」「長屋迷路」写真集紹介
■写真集:路地

路地 著者:中里和人(Nakazato Katsuhito)
タイトル:路地(ROJI) Wandering Back Alleys
オビ紹介文:
白昼と闇を繋ぎ、分ける時間
建物と建物を繋ぎ、分離する空間
写真家は時空のすき間である
路地を見つめている
   -----松山 巌
定価:本体2,400円+税
出版社:清流出版

■紹介記事
[2005年1月23日 読売新聞読書欄より 文・前田恭二氏]
タイトルは、ただシンプルに「路地」。とはいえ、昔かたぎの人々が肩を寄せ合って暮らす、生活空間としての路地を撮っているわけではない。ここでの「路地」とは、むしろ異界への通路と言った方がよい。
夕暮れ時の狭い路地の先には、どこにでもありそうな、しかし不思議な世界が広がる。レトロな洋品店に人待ち顔でマネキンがたたずむ。古びたトタンやモルタルがいい味わいを醸し出すかと思えば、屋根も壁も緑に覆われた奇妙な家に出くわす。そんな路地を歩く人の姿を、ひさしの上から猫が見つめている-----。
ある人には歩き慣れた道であっても、他の人にとってはそうではない。<一瞬にして、日常の路地が、超日常(シュール)なハリボテ風世界に転換>するゆえんである。
そうした見知らぬ路地に迷い込む、かすかな不安とひそやかな快感を、本書はページをめくるごとにありありと思い出させる。路地というナノ迷宮を追体験させる、写真集の姿をした迷宮とも言えようか。

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by nakazato-k | 2005-01-23 14:35 | 中里和人 新着情報