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写真集 「4つの町」
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4つの町  
- Geography of Colors -

            


清流出版(2007)



日本の土地には様々な色彩があふれている。
天、地、海、山、里,街と、天然から人工の色までを見渡すと、
無限の広がりをみせている。
そんな日本各地を旅しながら、ある速度のなかで町の空間移動を
していくと、その町や土地に顕著な色が滲み出てきた。
町が色の塊となって見え始めてきた。

まず、一つ目の激しい色彩が、本州最北の津軽からやってきた。
赤、青、緑、朱色など、強い原色のペンキが塗られた、
母屋や小屋の建物だった。
この色彩の激しさはどこから来るのか?
集落の周りに目を向けてみると、民俗的な地蔵や鳥居、ねぶた祭。
浜に落ちている石や西海岸の埋没林の崖の色彩に至るまで、
自然から暮らしまでが、鮮烈な原色感に彩られていた。
『原色の町 ・ 津軽』は、90年代後半に日本各地の小屋を撮影する
シリーズの中で出会った、色のある初めての町だった。

2000年。路地の撮影で沖縄にいた。青い海と空。
トロピカルな花や魚で彩られた原色の島という沖縄イメージで
町を歩き出すと、意外なことに、次々にやってきた景色は、
ペンキの剥げかけた家々の壁や色褪せたコンクリ−ト塀や
ビルなど、パステルカラーばかりだった。
それは、雨風や台風が多く、陽射しも強い沖縄では、
派手に塗られていた色彩も、日本で一激しく色褪せる土地だった。
まさに沖縄は『褪色の町』だらけの島だった。

2005年。雪の撮影で新潟にいた。宿の窓からしんしんと
降り積る白い雪と『白い町』を眺めていた。
その時、原色の津軽と褪色の沖縄、そして故郷三重の集落が、
コールタールの黒い色彩につつまれた『黒い町』の記憶色となっ
て、一気に頭の中を駆けめぐった。

その瞬間、リアルで濃密な色彩に彩られた、
原色、褪色、黒、白という『4つの町』が、現代の日本に眠る
隠れ里のような風景像を結んだ。
土着やローカルカラーをすり抜けて、静かに4つの記憶色を
発信し続けるファンタジックで褪色しない『4つの町』となって。
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by nakazato-k | 2008-03-09 17:49 | 中里和人 新着情報