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中里和人写真展「ULTRA 臨界夜景」        08.10.20(月)-11.15(土) 中京大学 C・スクエア

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『ULTRA 臨界夜景』



 初めて夜景を撮り出したのは、1980年代の半ばころだった。東
京湾岸沿いの人気(ひとけ)のない埋立造成地に迷いこんで、アシ
の原っぱにすっぽり包まれ夜空を見上げた時に、自分の中から東京
や日本がどんどんと消滅していく感覚を体感したのだった。
その感覚は昼よりも夜のほうが鮮烈で、誰もいない夜の東京原野
を何度も訪れるようになった。
やがてそのシリーズは、処女写真集『湾岸原野』(1991年、モノ
クロ作品)になった。
1990年代に入り、写真表現はモノクロからカラーへと移ってい
った。夜景はまだ大きなシリーズではなかったが、リバーサルフィ
ルムに定着された夜の色調には、天然の月明かり、人工の街灯りを
拾った、肉眼では見えない夜の素顔が写り始めた。
夜特有の色、影、形には、昼には想像もできない新鮮な生命力が
充満していた。昼間はあたりまえの風景だったものが、夜にはまっ
たく見たことのない、異国の景色へと変身する夜の発見があった。
そこで捉えようと試みていたのは、それまでの日本では見かけな
い、夜景の持つ不思議な色彩と陰影の新しいイメージだった。
後に夜景シリーズは、『逢魔が時』(2003年)と『夜旅』(2005年)
の2冊の本になった。
偶然だったが、夜景撮影を続ける中で色や光がほとんど消えた、
まるで失敗写真のような暗い夜との出会いが生じた。それは、失敗
などではなく、現場に漂う闇が深くて、極端に暗い風景で、夜景の
臨界点で撮影されたものだった。撮影現場を思いおこすと、周りに
ある深い闇に紛れ、飲まれ、いつしか自分と闇の境界も朧げになっ
ていた。
数年前に、そんな暗闇写真と出会ってからは、闇を背景に浮かび
あがる光や色彩の夜景ではなく、景色が消滅してしまう背景の闇そ
のもの、闇景(臨界夜景)へと興味が移っていった。
写真のフィルムに定着された、世界で最も暗い闇溜まり。夜のハ
テで蠢く、不思議で、怖くて、安らかな時間。放心するように暗闇
に紛れていると、夜の奥から、限りなく消え果ててしまった色彩と
一緒に、ザラザラとした闇の粒子が立ち昇ってくるのだった。

中里和人




会 期    2008年10月20日(月)-11月15日(土)


休 館    日曜(但し、11月2日は開館)


開館時間   午前9時-午後5時 入場無料


会  場   中京大学アートギャラリー C・スクエア
        〒466-8666 名古屋市昭和区八事本町101-2 
        (中京大学センタービル一階)
       TEL(052)835-5669


※地下鉄鶴舞線・名城線「八事(やごと)」駅北口改札経由、5番出口直結



展覧会詳細・アクセス  
http://www.chukyo-u.ac.jp/c-square/2008/87/87top.html




関連イベント 10月25日(土)

○高梨豊・中里和人 対談

時 間: 13時30分~15時(開場:13時) 

会 場: 名古屋キャンパス0705教室
    (C・スクエアと同じ建物の7階)

※参加自由・会費無料、対談終了後、15時30分頃から17時までレセプションを開きます。



協力:吉野千枝子(日本カメラ)
   エプソン販売株式会社
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by nakazato-k | 2008-10-15 10:17